視聴覚教育記事
目と耳 ~ 不思議なスピーカー
PAに関する専門家のアドバイスが重要なことは先月号に書いたが、その催しの会場で、都内で「魔法の音を出す驚異のスピーカー」をつくっているという方とお話しをすることができた。
騒いでいた幼児が、スピーカーの前で踊りだしたり、聴衆ばかりでなく、演奏者や講演者自身も心地よく集中して聴けるので、その音で脳を活性化させ、聞く人の心をいやす効果があるという。
にわかには信じられない、という顔をしている、「スピーカーの音は、カタログの型番や数値では絶対分からないから、実際に音を聞いてほしいと言われ、「おやぢフォーク」の練習会場で聞かせてもらうことになった。
当日運び込まれたアンプはカラオケ屋にあるようなもの。肝心のスピーカーも特に変わったところはない普通のもののようだ。すごい筐体を期待していたのでちょっとガッカリした。
スピーカーを変えただけで魔法のような良い音になるなんて、と思っていたが、マイクやケーブルをセットして、実際に音が出て驚いた。今までにスピーカーから聞いたことのない音だった。
歌や楽器の音が、そのまま自然に、音量だけ大きくなった感じ、包み込まれるような、柔らかい、変に加工されていないから聞いてストレスを感じない…。
驚いた顔をしている僕らに、「普通は音が出ているスピーカーに目が行くが、これは歌っている人に目が行くよ」と言われて、はっとした。本当にそうだった。
とにかく聞いていて気持ちがいいし、僕たちも皆ご機嫌で歌ったり演奏している。何か急に上手になったようだ。
その型も、僕たちの演奏をニコニコして聴いている。う~ん、世の中には不思議なスピーカーがあるものだ。(吉田 嘉秀)